骨拾ふ人に親しき菫かな 蕪村 萩原朔太郎 (評釈)
骨拾ふ人に親しき菫かな
燒場に菫が咲いて居るのである。遺骨を拾ふ人と對照して、早春の淡い哀傷がある。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「春の部」より。「骨拾ふ」のは「こつひろふ」と「骨」を音読みする。無論、野辺での火葬の後の骨(こつ)拾いの景である。因みに私の母は献体し、私は母の骨拾いもしていない。私も同じく献体しており、私の骨拾いをする人も同様に、いない。が、この景は何かしみじみとする。蕪村独りにして詠めた句と思う。]