夕立や草葉を摑む群雀 蕪村 萩原朔太郎 (評釈)
夕立や草葉を摑む群雀
急の夕立に打たれて、翼を濡らした雀たちが、飛ばうとして飛び得ず、麥の穗や草の葉を摑んでまごついて居るのである。一時に襲つて來た夕立の烈しい勢が、雀の動作によつてよく描かれて居る。純粹に寫生的の繪畫句であつて、ポエジイとしての餘韻や含蓄には缺けてるけれども、自然に對して鋭い觀照の目を持つて居た蕪村、畫家としての蕪村の本領が、かうした俳句に於て表現されてる。
[やぶちゃん注:昭和一一(一九三六)年第一書房刊「郷愁の詩人與謝蕪村」の「夏の部」より。]

