日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第九章 大学の仕事 12 青果市場にて
九月二十一日。市場は追々果物で一杯になって来る。柿の一種で、鮮紅色をしたのは美味である。葡萄も熟して来る。梨は、見た所未熟だが、常緑木(ときわぎ)の葉を敷いた洗い桶の中に、三角形に積まれて奇麗に見える(図233)。市場にあるものは、すべて奇麗で、趣味深く陳列してある。実に完全に洗いこするので、葱(ねぎ)は輝き、蕪(かぶ)は雪のように白い。この国の市場を見た人は、米国の市場へ持って来られる品物の状態を、忘れることが出来ない。
[やぶちゃん注:「九月二十一日」金曜日。なお、磯野先生の「モースその日その日 ある御雇教師と近代日本」によれば、モースは未だ二回のプレ発掘であったが、この日附で『イギリスで出版されている世界的に著名な科学雑誌『ネイチャー』にいち早く投稿、石器が少ないとの指摘を含めて、それまでの成果を報告している』とある。]
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