鬼城句集 秋之部 ずず玉
ずゝ玉 ずゝ玉を植えて門前百姓かな
[やぶちゃん注:「ずゝ玉」私の好きな懐かしいイネ目イネ科ジュズダマ
Coix lacryma-jobi。水辺に生育する大型のイネ科植物の一種で熱帯アジア原産。一年草で、背丈は一メートルほどになる。根元で枝分かれした多数の茎が束になり、茎の先の方まで葉をつける。葉は幅が広い線形でトウモロコシなどに似ている。花は茎の先の方の葉の付け根にそれぞれ多数つき、葉鞘から顔を出した花茎の先端に丸い雌花が、その先から雄花の束が伸びる。雌花は熟すると、表面が非常に固くなり、黒くなって表面に光沢がある。熟した実は根元から外れてそのまま落ちる(これは正しくは「実」ではない。この表面は実は苞葉の鞘が変化したもの、花序の基部についた雌花(雌小穂)をその基部にある苞葉の鞘が包み、それが硬化したものである)。脱落した実は乾燥させれば長くその色と形を保つので、古くは数珠を作るのに使われた。中心に花軸が通る穴が空いているため糸を通すのも容易である。古来より「じゅずだま」のほか「つしだま」とも呼ばれ、花環同様にネックレスや腕輪など、秋から冬の女子の野遊びとして作られた。なお、健康茶などで知られるハトムギ(Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)はジュズダマの栽培種で、全体がやや大柄であること、花序が垂れ下がること、実がそれほど固くならないことが原種との相違点である(以上はウィキの「ジュズダマ」に拠る)。
「門前百姓」江戸時代、祭儀や戦乱等の際に寺院に協力する義務を負う一方で、通常の年貢が免除された大寺院の門前に住した百姓。「お布施以外門前百姓採り放題」などと呼ばれた。本句もちゃっかり、ジュズダマを数珠の代わりに、というニュアンスをもたせた俳味を利かせているように思われる。]

