『風俗畫報』臨時増刊「江島・鵠沼・逗子・金澤名所圖會」より江の島の部 21 先哲の詩(22)
夜宿畫島 高惟馨
潮廻孤島繫扁舟。
夜半偏憐海上秋。
不爲驚濤能破夢。
那知明月照龍湫。
[やぶちゃん注:高惟馨は高野蘭亭。既注。
夜宿畫(ゑ)の島 高惟馨
潮廻れる孤島 扁舟を繫ぐ
夜半 偏へに憐れむ 海上(かいしよう)の秋
驚濤をして能く夢を破らしめず
知る 明月 龍湫を照らすを
「那」語勢調える置字と採る。「なんぞ」とも読めるが、今一つ、後とのつながりが悪い。
「龍湫」現在の浙江省温州市にある景勝地雁蕩山の景勝地域(桃花流水氏(日本人の方と思われる)のサイト「Panorama飛騨」の「中国名山・雁蕩山」に詳しい。画像有り)。また、その中で「大龍湫」と称するのは中国の四大名瀑の一つとされ、別名を大瀑布とも言う瀧である(リンク先は中文ウィキ)。夜半の波濤の砕ける音が夢に入ってこの見たこともない名瀑に懸る明月を夢想させたという意味か。]
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