萩原朔太郎 短歌五首 明治三六(一九〇三)年八月
野より今うまれける魂をさなくて一人しなれば神もあはれめ
沁(し)みにしは無花果(いちじく)の葉の乳(ちゝ)のごと淸らにあまきおもひなりける
あめつちを歌にたたへし昨日(きのふ)けふは薊の精(せい)戀ふる人
おくつきは大(おほ)あめつちの一つ石と笑みも入らばや寢ばやそのした
もとめわび信(しん)のろひて歸れるに心はうつろ身はもぬけがら
[やぶちゃん注:『明星』卯年第八号・明治三六(一九〇三)年八月号の「無花果」欄に「萩原美棹」の名義で掲載された。萩原朔太郎満十六歳。この五首、短歌嫌いの私が何故か、ひどく気に入ってしまったことを告白しておく。]
« 唯正しく考へ正しく語ることに努めなければならない。決して他の人々を己の趣味の思想に從はせようとしたはならない。これは餘りにも大それた企である。(ラ・ブリュイエール) | トップページ | くろんぼ踊り 萩原朔太郎 (未発表詩篇) »

