鞦韆のさゆらぎ止まぬ我が庭の芭蕉卷葉に細し春雨 萩原朔太郎
鞦韆のさゆらぎ止まぬ我が庭の芭蕉卷葉に細し春雨
[やぶちゃん注:『坂東太郎』第二十一巻第四号(明治三五(一九〇二)年十月発行)に服部躬治選で掲載された。底本の筑摩書房版全集第三巻の「短歌」の冒頭に載る。
選者の服部躬治(はっとりもとはる 明治八(一八七五)年~大正一四(一九二五)年)は歌人で小説家水野仙子(せんこ)の実兄。福島生。国学院卒業後、跡見女学校で教鞭を執った。明治二六(一八九三)年に落合直文の「あさ香社」の結成に参加、明治三十一年には久保猪之吉・尾上柴舟らと「いかづち会」を起こして新派和歌運動に活躍したが、大正期には歌壇から遠ざかった。歌集に「迦具土(かぐつち)」。
かぐつちの血しほやここにたばしりし五百津磐村(いほついはむら)煙わきのぼる(「迦具土」)
(以上は講談社「日本人名大辞典」に拠る)。
当時、朔太郎、未だ満十五歳。
『坂東太郎』は前橋中学校(現在の県立前橋高等学校)の校友会誌。]
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