鬼城句集 冬之部 人事 お命講
人事
お命講 お命講や立ち居つ拜む二法師
[やぶちゃん注:「お命講」は「御命講」で「おめいこう」と読み、御会式(おえしき)のこと(会式は法会の式の略)。日蓮宗及び同系統の寺院及び信徒によって宗祖日蓮の通夜に当たる十月十二日と忌日である十三日の両日に営まれる祖師報恩の法会を指す。十二日には信者は万灯をかざして太鼓を敲き、題目を唱えて参拝する。御影供(おめいく)。御命講は御影供(みえいく)を拝むという意の御影講(おえいこう)から転訛したものらしい。浄土真宗他の他宗での御会式はあるが、それを「お命講」とは普通は言わないと思われ、この句は鬼城が日蓮宗徒であったかのようにも思わせるのだが、少なくとも鬼城の墓は高崎市若松町の龍廣寺にあって同寺は曹洞宗である。しかも季語としては現在、歳時記や辞書には日蓮宗のそれに合わせて秋とするから、この部立はおかしい。師の虚子の墓は鎌倉の寿福寺にあって同寺は臨済宗であるから、宗教絡みの季語にはいい加減だったものか? 識者の御教授を乞う。]