鬼城句集 冬之部 寒さ
寒さ 庵主や寒き夜を寐る頰冠
死を思へば死も面白し寒夜の灯
影法師の壁にしみ入れ寒夜の灯
[やぶちゃん注:「しみ入れ」の「し」は底本では「志」を崩した草書体表記。]
活計に疎き書どもや寒夜の灯
[やぶちゃん注:「活計」は「たつき」と読みたくなるが、音数律から「くわつけい(かっけい)」であろう。]
一つづゝ寒き影あり佛達
眞木割つて寒さに堪ふや瘦法師
市日
寒き日や小便桶のあふれ居る