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2013/12/03

月光と祈禱 萩原朔太郎 (「月光と海月」初出版)

 月光と祈禱

月光の中を泳ぎいで、
群がるくらげを捉へんとす、
手は身體(からだ)を放れてのびゆき、
しきりに遠きにさしのべらる、
藻ぐさにまつはり、
月光の水にひたりて、
わが身は玻璃のたぐひとなりはてしか、
つめたくして透きとほるもの流れてやまざるに、
たましひは凍えんとし、
ふかみにしづみ、
溺るゝごとくなりて祈りあぐ。

『マリヤよ、
はやはやわが信願を聽き届け、
翡翠(ひすゐ)のくらげを與へしめてよ、』
 ……………………………
かしこにこゝに群がり、
さあをにふるへつつ、
くらげは月光のなかを泳ぎいづ。

[やぶちゃん注:『詩歌』第四巻第五号・大正三(一九一四)年五月号に掲載された。後に「純情小曲集」(大正一四(一九二五)年八月新潮社刊)の冒頭の「愛憐詩篇」群の掉尾に配された(この詩の後に「郷土望景詩」群がくる)。そこでは以下のように改められてある。

 月光と海月

月光の中を泳ぎいで
むらがるくらげを捉へんとす
手はからだをはなれてのびゆき
しきりに遠きにさしのべらる
もぐさにまつはり
月光の水にひたりて
わが身は玻璃のたぐひとなりはてしか
つめたくして透きとほるもの流れてやまざるに
たましひは凍えんとし
ふかみにしづみ
溺るるごとくなりて祈りあぐ。

かしこにここにむらがり
さ靑にふるへつつ
くらげは月光のなかを泳ぎいづ。

私は個人的に朔太郎の初出に現われる執拗な読点を偏愛する。それは彼の精液のように粘着的な「舌の内在律」を確かに伝えていると感じるからである。]

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