『風俗畫報』臨時増刊「江島・鵠沼・逗子・金澤名所圖會」より江の島の部 21 先哲の詩(21)
夜宿畫島 岡崎信好〔字師古 號盧門〕
雲水渺茫相海中。
金龜島霽興何窮。
潮聲近湧龍蛇窟。
月影高輝神女宮。
七里漁濱砂似玉。
千帆商舶葉隨風。
擧杯勝景堪相賞。
一夜閑吟旅思空。
[やぶちゃん注:岡崎信好(享保一九(一七三四)年~天明七(一七八七)年)は江戸中期の漢詩人。京都生。群書に精通し、文章に優れたが、病弱なために仕官せずに生涯を終えた。著作に「廬門詩集」「平安風雅」、編著に「扶桑鐘銘集」などがある(講談社「日本人名大辞典」に拠る)。
夜、畫(ゑ)の島に宿る 岡崎信好〔字は師古、號は盧門。〕
雲水 渺茫(べうばう) 相海の中(うち)
金龜の島 霽れ 興(きよう) 何ぞ窮せんや
潮聲 近く湧く 龍蛇の窟
月影 高く輝く 神女の宮
七里の漁濱(れふひん) 砂 玉に似
千帆の商舶 葉 風に隨ふ
杯を擧ぐるに 勝景 相ひ賞するに堪へ
一夜 閑吟す 旅思の空
「相海」相模の海(相模湾)の謂いであろう。]
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