美しい 夢 八木重吉
美しい 夢
やぶれたこの 窓から
ゆふぐれ 街なみいろづいた 木をみたよる
ひさしぶりに 美しい夢をみた
[やぶちゃん注:二行目は私には不審な文字列である。朗読するにしても「街なみいろづいた」と連続して読み、間をとって「木をみたよる」と詠ずることは不可能である。少なくとも私にはそのような不達意の朗読は出来ないし、重吉自身がそのような不連続な詩句文字列をわざと配するとは思われない(「街なみいろづいた」に掛詞的なこじつけた解釈をすることは可能であるにしても、そのような解を私は認める気は毛頭ない)。格助詞「の」の脱字などの可能性が全くないとすれば、せめても、
ゆふぐれ 街なみ いろづいた 木をみたよる
又は、
ゆふぐれ 街なみ いろづいた木をみたよる
と表記されたものとして朗読する以外にはあるまいと私は思う。この詩について誰も何も言っていないようであるが、これは馬鹿な私だけの違和感なのだろうか? 歌曲になっているらしいが(鈴木英明「八木重吉の詩による四つの歌曲」)、一体、どうやって歌っているものであろう? 愚鈍な私は是非に識者の方の御教授を乞いたい。]