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図―275
ある町の傍の地面の上で、若い男と男の子とが将棋をやっているのを見た。男の子は十歳にもなっていなかったが、青年が吃驚したり、叫んだりする所から、私はこの子が彼にとっていい相手であるのだと判断した。何人かが周囲に立って、この勝負を見守っていたがが、私もまた勝負を見るような様子をして地面にしやがみ込み、競技者二人を大急ぎで写生した(図275)。