日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第十章 大森に於る古代の陶器と貝塚 37 貨幣計算器
両替屋は、うまい仕掛で素速く銭を数える。彼は柄のついた盆を、細い条片(すじ)で各列に十個の区分のある十個の列の四角にわけた物を持っているが、条片の厚さは彼が勘定しようとする貨幣の厚さと同じであり、各種の貨幣に対して、それぞれ異った盆が使用される。一例として五ドルの金貨一つかみを盆の上に落し、それを巧みに振り動かすと、空所は即座に充され、貨幣は充された空所の上を、辷って空いた所へ入り込む。両替屋は貨幣を十ずつ数え、同時にそれ等を瞥見して、偽物があるか無いかを見る。この仕掛は銀行や両替事務所で使用される。
[やぶちゃん注:「木工教室探検隊」氏のブログの「お金を数える道具」に高知県馬路村で見たそれに類した道具の映像があるのを見つけた。]
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