なにか知らねど 夢みるひと(萩原朔太郎)
なにか知らねど
夢みるひと
なにか知(し)らねど泣(な)きたさに
われはゆくゆく滊車(きしや)の窓(まど)
はるばると
きやべつ畑(ばたけ)は日(ひ)に光(ひか)り
風見(かざみ)ぐるま
きりやきりゝとめぐる日(ひ)に
われはゆくゆく滊車(きしや)の窓(まど)
なにか知(し)らねど泣(な)きたさに
[やぶちゃん注:大正二(一九一三)年九月三十日附『上毛新聞』に上記の筆名で発表された。萩原朔太郎満二十七歳。【二〇二二年二月二十一日追加】読みが五月蠅いので、除去版を以下に示した。
*
なにか知らねど
夢みるひと
なにか知らねど泣きたさに
われはゆくゆく滊車の窓
はるばると
きやべつ畑は日に光り
風見ぐるま
きりやきりゝとめぐる日に
われはゆくゆく滊車の窓
なにか知らねど泣きたさに
*]