橋本多佳子句集「海燕」 昭和十一年 髮 / なげきの友に / 葬
髮
百合にうづみ骸の髮生きてゐる
百合匂ひ看護婦は死の髮を梳く
百合そへしなつかしき死の髮に触る
なげきの友に
若人の葬そ炎ゆる日をかゝげ
母に遺す一高の帽白き百合
葬
曼珠沙華身じかきものを燒けぶり
曼珠沙華多摩の翠微をけぶらしぬ
曼珠沙華はふりのけぶり地よりたつ
曼珠沙華灼熱の骨を灰にひらふ
曼珠沙華はふりの車輪(わ)をふれぬ
« 何故に 色があるのか 八木重吉 | トップページ | 杉田久女句集 12 入學兒に鼻紙折りて持たせけり »
髮
百合にうづみ骸の髮生きてゐる
百合匂ひ看護婦は死の髮を梳く
百合そへしなつかしき死の髮に触る
なげきの友に
若人の葬そ炎ゆる日をかゝげ
母に遺す一高の帽白き百合
葬
曼珠沙華身じかきものを燒けぶり
曼珠沙華多摩の翠微をけぶらしぬ
曼珠沙華はふりのけぶり地よりたつ
曼珠沙華灼熱の骨を灰にひらふ
曼珠沙華はふりの車輪(わ)をふれぬ