橋本多佳子句集「海燕」 昭和十年 波
波
白波の沖よりたてり波乘りに
波乘りに靑き六連嶋(むつれ)が垣なせり
波に乘れば沖ゆく船も吾に親し
波に乘り陸(くが)の靑山より高し
波に乘れば高波空を走るなり
波乘りに暮れゆく波の藍が濃き
[やぶちゃん注:二句目「六連嶋」で「むつれ」と読ませている。これは「垣なせり」とあるから明らかに山口県下関市の響灘(ひびきなだ)諸島に属する六連島(むつれじま)一島のみでなく、周囲の馬島(うましま)・片島・和合良島(わごらしま)などの島影を一括して言っている。なお、この内、馬島以下は福岡県北九州市小倉北区に属する。]

