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2014/01/17

杉田久女句集 14 蝶

 


藪風に蝶ただよへる虛空かな

 

蝶來初めぬ北窓畠に開けてすむ

 

もつれ映りて河を橫切る蝶々かな

 

蝶の目に觸れてきびしき小花かな

 

蝶去るや葉をとじて眠るうまごやし

 

蝶とまりて靜に翅をたたむ花

 

すこし飛びて又土にあり翅破れ蝶

 

旭注ぐや蝶に目醒めしうまごやし

 

[やぶちゃん注:底本索引から「旭注ぐや」は「ひそそぐや」と訓じているものと思われる。久女は蝶を詠わせたら、右に出る者はない。彼女にとって蝶は傷心の自身の肉体であり、後に

 足袋つぐやノラともならず教師妻

と詠む「人形の家」のノラの自己投影の表象であり、そうして――そうして

 蝶追うて春山深く迷ひけり

と詠んだ彼女の、凄絶なる魂の迷宮(ラビリンス)への誘いででもあったのである。]


 

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