虛言への情熱家 萩原朔太郎
●虛言への情熱家
正直者とは、僞(うそ)をつかない人といふことではない。僞(うそ)でさへも、利己的な打算や懸引(かけひき)でなく、無邪氣な純一の心を以て、情熱から語る人を言ふのである。
芸術の天才等は、氣質の正直さにかかはらず、概ね僞(うそ)つきの名人であり、虛言することに熱意を持つてる。
[やぶちゃん注:昭和四(一九二九)年十月第一書房刊のアフォリズム集「虚妄の正義」の「著述と天才」掉尾。]
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●虛言への情熱家
正直者とは、僞(うそ)をつかない人といふことではない。僞(うそ)でさへも、利己的な打算や懸引(かけひき)でなく、無邪氣な純一の心を以て、情熱から語る人を言ふのである。
芸術の天才等は、氣質の正直さにかかはらず、概ね僞(うそ)つきの名人であり、虛言することに熱意を持つてる。
[やぶちゃん注:昭和四(一九二九)年十月第一書房刊のアフォリズム集「虚妄の正義」の「著述と天才」掉尾。]