草の神經 萩原朔太郎
草の神經
ぴんととがつた草の尖端へ
かすかに、かすかにしらみかけ
ふるへるちつぽけな毛蟲の毛
くさはもろむき
いつさい天日をさしてのびあがり
瞳はそのてつぺんに光るなり
くさのしんけいはまつしろい毛蟲の毛
いともささやかにかすめるものを
かすれたきずのいたましさ、おそろしさ。
[やぶちゃん注:底本全集第三巻「未發表詩篇」より。太字「きず」は底本では傍点「﹅」。]
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