橋本多佳子句集「海燕」 昭和十年 南風と練習船
南風と練習船
[やぶちゃん注:「南風」はここでは「はえ」で、特に四月頃から八月頃にかけて吹く南から吹く夏の季節風を指す。]
積雲も練習船も夏白き
南風(はえ)つよし綱ひけよ張れ三角帆
百千の帆綱が南風にみだれなき
帆を統べて檣は南風の天に鳴る
白南風や練習船は舳にも帆を
練習生帆綱の上ぞ南風に堪へ
南風の船並(な)み帆の上に帆を張れる
練習船白南風の帆を並めて航く
[やぶちゃん注:「白南風」は「しらはえ」又は「しろはえ」と読み、先に注した南風(はえ)の中でも梅雨が明ける六月末頃から吹き始める南風を指す。]
若人等幾日ぞ南風鳴る帆の下に