蒼白い きりぎし 八木重吉
蒼白い きりぎしをゆく
その きりぎしの あやうさは
ひとの子の あやうさに似る、
まぼろしは 暴風(はやて)めく
黄に 病みて むしばまれゆく 薰香
惱ましい まあぶるの しづけさ
たひらかな そのしずけさの おもわに
あまりにもつよく うつりてなげく
悔恨の 白い おもひで
みよ、悔いを むしばむ
その 悔いのおぞましさ
聖榮のひろやかさよ
おお 人の子よ
おまへは それを はぢらうのか
[やぶちゃん注:太字「まあぶる」は底本では傍点「ヽ」。]
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蒼白い きりぎしをゆく
その きりぎしの あやうさは
ひとの子の あやうさに似る、
まぼろしは 暴風(はやて)めく
黄に 病みて むしばまれゆく 薰香
惱ましい まあぶるの しづけさ
たひらかな そのしずけさの おもわに
あまりにもつよく うつりてなげく
悔恨の 白い おもひで
みよ、悔いを むしばむ
その 悔いのおぞましさ
聖榮のひろやかさよ
おお 人の子よ
おまへは それを はぢらうのか
[やぶちゃん注:太字「まあぶる」は底本では傍点「ヽ」。]