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2014/01/16

生物學講話 丘淺次郎 第十章 卵と精蟲 プロローグ

  第十章 卵と精蟲
 
 前章に述べた通り、生物の生殖には種々の異なつた方法があるが、その中で最も進んだ、且最も廣く行はれて居るものは、無論雌雄による有性生殖である。人間を始として多數の高等動物では、生殖といへば即ちこの方法のみで、その他には個體の數を殖やす途はない。そして雌雄の間には生殖器官の構造を異にする外に、雌雄相求めるための特殊の性質を具へたもの、生まれた子を育てるための特殊の構造を有するものなどがあり、特に多數相集まつて團體を造る種類では、雌雄の別に基づく複雜な心理的の關係も生じて、生物界における各種の現象中でも最も興味の深いものがある。雌雄の相合するため、竝に子を育てるために、兩性の間に分業の行はれる場合には、雌の方に乳房が大きくなり、雄の方に牙が鋭くなるといふ如き身體上の變化の外に、慈愛・勇氣・堪忍・冒險などの如き精神上の性質も、雌と警の間に不平均に分たれ、心理狀態も著しく異なるに至るであらうから、長い間かやうな分業の行はれて居た動物では、雄は心理的に雌を理解することが出來なくなり、雌の擧動を見て永久に不可解の謎の如くに感ずるかも知れぬ。しかもかく相異なるに至つた源を糺せば、一方は卵巣内に卵細胞を生じ、一方は睾丸内に精蟲を生じて、互に性質の相異なつた生殖細胞を體内に生ずるからである。されば雌雄の別に基づく身體の構造や精神の作用を論ずるに當つては、まづ卵細胞と精蟲との由來を十分明にして置かねばならぬ。
[やぶちゃん注:「長い間かやうな分業の行はれて居た動物では、雄は心理的に雌を理解することが出來なくなり、雌の擧動を見て永久に不可解の謎の如くに感ずるかも知れぬ」何だか面白い謂いである。こんな風に感ずる「動物」はヒトしかいないはずである。丘先生、微妙な性の問題を語り出すに、微苦笑を交えながら、なかなかお洒落な謂いをなさっておられるという気が私にはするのである。]

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