橋本多佳子句集「海燕」 昭和十一年 地下の花舗
地下の花舗
凩は遠き地に鳴り地下をゆく
落葉あり地下の掃除夫路を洗ふ
ひとを運ぶ階は動けり地下凍てず
地下の花舗温室(むろ)の白百合路にあふれ
地下の花舗汗ばむ毛皮肩にせり
ひと待ちぬ約せし花舗に毛皮ぬぎ
[やぶちゃん注:どこのデパートの地下街かは特定出来ないが、小倉近くでは門司港の中心商店街の栄町地区
(現在の門司港レトロ地区)に昭和九(一九三四)年末に開業した、北九州最古の百貨店である山城屋百貨店が営業していた(この情報はウィキの「山城屋 (百貨店)」に拠る)。]
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