不思議をおもふ 八木重吉
たちまち この雜草の庭に ニンフが舞ひ
ヱンゼルの羽音が きわめてしづかにながれたとて
七寶莊嚴の天の蓮華が 咲きいでたとて
わたしのこころは おどろかない、
倦み つかれ さまよへる こころ
あへぎ もとめ もだへるこころ
ふしぎであらうとも うつくしく咲きいづるなら
ひたすらに わたしも 舞ひたい
[やぶちゃん注:「七寶莊嚴」は底本では「七寶壮嚴」であるが、これは誤字若しくは誤植であるから、例外的に訂した。]
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