第一版新迷怪国語辞典 あ(感動詞)
あ(感動詞)
1 何かを急に思い出すか若しくは気づいた際(そこでは「あ」に示した通り、無批判に本来的に手前勝手に所有を認識していたはずの対象が喪失・離脱するケースが多い)に思わず(というところに既にして対象喪失を齎すところの安易な所有意識前提が見え隠れしている)発する語。それはしばしば発生した個人の絶対的エゴイズムを露呈させる属性をも持つ。「アツ苦しいナ、痛いナ、アーアー人を馬鹿にして居るぢやないか、馬鹿、畜生、アツ、アツ痛、痛イ痛イ、寢返りしても痛いどころか、じつとして居ても痛いや。」(正岡子規「煩悶」)
2 応答で用いる語。但し、「はい」という丁寧な応答が面倒なので一音化している点で対象を無意識的に対等以下に見下している場合に多用する。さらに近年では「あ↺?」と語尾を尻上げて戻ることによって疑問化しつつ、対象者を完膚なきまでに侮蔑するおぞましい方法を男女老若問わず好んで使用するようになった。これは「応答」語としては最下劣な用法であるが、麻薬的な蔓延を見せている。