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2014/02/05

篠原鳳作句集 昭和五(一九三〇)年八月

 傘燒

 

破れ傘さし開きてはくべにけり

 

[やぶちゃん注:八月発行『天の川』掲載句。前注した「曽我どんの傘焼き」の嘱目吟である。ここまで投句を引っ張れるとなれば、やはり昭和五年六月二十四日、旧暦五月二十八日に同祭りは行われたものではあるまいか?]

 

霰すと父に障子をあけ申す

 

[やぶちゃん注:本句は鳳作の俳句手記にあるもので、伝統俳句ならば「霰」は晩冬の季語であるから当季(この句は八月の句群の中に配されてある)ではなく、回想吟に仕分けられてしまうところだが、これぞ歳時記の非科学性(というより私は歳時記の似非博物学的性格から非博物学性と言いたい)で、気象観測では直径が五ミリメートル以上のものが「雹」、五ミリメートル未満のものを「あられ」と言う。気象学では霰は「氷霰」と「雪霰」に区別され、「氷霰」は一般には透明で気温が0℃以上の初冬に降るが、夏でも降るときがある。また、「雪霰」は一般には白色で気温が0℃以下の時に雪と一緒に降ることが多い(「氷霰」に比べると粒は脆くて地面に落下すると跳ね返って割れることもある。ここまでは「NHK放送文化研究所の「放送現場の疑問・視聴者の疑問」にある「ひょう」と「あられ」の違いは?を参考にした)。則ち、実際には「霰」は冬にも降るものの、春から秋かけて特に夏の終わりにも降るのである。事実、大きな「雹」を歳時記は夏にしている。ならば、直径五ミリ以下のものがパラパラと夏に降っても伝統俳句は非科学的に「雹」とせよ「夏霰」とせよ言うのであろうか? 私は本句はまさに昭和五年の夏の終わり、積乱雲から降ってきた「霰」を詠んだものと思う。底本編者も無論、手記の位置とそうした確信犯から堂々とここに本句を挟んでいるものと考える。無季俳句へ向かいつつあったに違いない鳳作のまさに確信犯的句であると私は思うのである(私は元来、自由律俳句から入った人間で季語に対する強い不信感を持っていることをここに表明しておく)。]

 

燕の巣覗きて菖蒲ふきにけり

 

ほほづきの靑き提灯たれにけり

 

蝶々の眩しき花にとまりけり

 

子蟷螂しきりと斧をなめにけり

 

鮎の宿氷の旗をかかげたる

 

田草取日除の笹を背負ひをり

 

滝の道しだいにほそし道をしへ

 

[やぶちゃん注:「道をしへ」鞘翅(コウチュウ)目オサムシ亜目オサムシ上科ハンミョウ科 Cicindelidae に属する昆虫或いはその中の一種で日本最大種(体長約二〇ミリメートル)のハンミョウ(ナミハンミョウ) Cicindela japonica の異名である。参照したウィキの「ハンミョウ科」によれば、『成虫は春から秋まで見られ、日当たりがよくて地面が湿っている林道や川原などによく生息するが、公園など都市部でも見られる。人が近づくと飛んで逃げるが、1、2メートル程度飛んですぐに着地し、度々後ろを振り返る。往々にしてこれが繰り返されるためその様を道案内にたとえ「ミチシルベ」「ミチオシエ」という別名がある』とある。]

 

砂つぶて飛ばしそめけり蟻地獄

 

大いなる柱のもとの蟻地獄

 

[やぶちゃん注:以上は八月の創作及び発表句。但し、最後の四句は「俳句手記」とのみあり、八月の句やありやなしやは判然としない。

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