玩具 山之口貘
玩 具
掌にのこつたまるい物
乳房のまんまの
まるい溫度
それからここにもうひとつ
これはたしかに僕の物です と
あの肌に
捺した
指紋
[やぶちゃん注:初出不詳。本詩は表記通り、有意に行間が空く。原書房刊「定本 山之口貘詩集」では、この行空けは、ない。【2014年6月17日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。】【二〇二四年十月二十日追記・改稿】国立国会図書館デジタルコレクションの山之口貘「詩集 思辨の苑」(昭一三(一九三八)年八月一日むらさき出版部刊・初版)を用いて(当該部はここ)、正規表現に訂正した。]