橋本多佳子句集「海燕」昭和十五年 囘想の壁炉
昭和十五年
囘想の壁炉
壁の外(そと)海鳴り壁に炉がもゆる
壁炉もえ吾が寢る闇を朱にしたり
囘想の炉がもえひとを炉に映えしめ
筑紫なるかの炉かなしみ炉を焚ける
[やぶちゃん注:諸データによって櫓山荘はこの前年の昭和一四(一九三九)年まで別荘として使用されていたとあるから、この時すでに多佳子の手を離れ、売却されていたものと思われる(年譜にはそうした記載はない)。]
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昭和十五年
囘想の壁炉
壁の外(そと)海鳴り壁に炉がもゆる
壁炉もえ吾が寢る闇を朱にしたり
囘想の炉がもえひとを炉に映えしめ
筑紫なるかの炉かなしみ炉を焚ける
[やぶちゃん注:諸データによって櫓山荘はこの前年の昭和一四(一九三九)年まで別荘として使用されていたとあるから、この時すでに多佳子の手を離れ、売却されていたものと思われる(年譜にはそうした記載はない)。]