秋 八木重吉
秋が くると いふのか
なにものとも しれぬけれど
すこしづつ そして わづかにいろづいてゆく、
わたしのこころが
それよりも もつとひろいもののなかへ
くづれて ゆくのか
[やぶちゃん注:最終行は、底本では、組の一行字数の関係からかく表示されてあるのであるが、これを、例えば、
それよりも もつとひろいもののなかへくづれて ゆくのか
とするテクストには私は従えない。そもそも重吉はここを、物理的な版組から仕方がなく連続した詩句を無理矢理断絶させて機械的に改行したもの――ではない。そこに明確な重吉の許容出来る休止(一字空け相当の若しくは改行して下方へ配するだけの)が存在するからに他ならないからである。]