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2014/02/26

萩原朔太郎「ソライロノハナ」より「若きウエルテルの煩ひ」(6)

その香ゆへにその花ゆへに人は老を

泣きぬ泣かれぬ濃きべにつばき

 

[やぶちゃん注:二箇所の「ゆへ」はママ。朔太郎満十七歳の時の、『文庫』第二十四巻第六号・明治三六(一九〇三)年十二月に「上毛 萩原美棹」の名義で掲載された十四首の第二首目、

 その香ゆゑにその花ゆゑに、人は老を、泣きぬ泣かれぬ、こき紅(べに)椿。

の表記違いの相同歌。]

 

瑠璃鳥(るりとり)の鳴けば朝雲さむうして

人とすなほに別れける哉

 

[やぶちゃん注:原本は「瑠璃鳥」を「瑠理鳥」とするが誤字と断じて訂した。底本校訂本文も「瑠璃鳥」とする。こちらは、朔太郎満十七歳の時の、『明星』卯年第十二号・明治三六(一九〇三)年十二月の「金鷄」欄に「萩原美棹(上野)」の名義で掲載された四首の第二首目、

 ひよ鳥の啼くや朝雲寒うして人とすなほに別れけるかな

の類型歌。]

 

抱きては交互(かたみ)に泣きし日もありき

世にそむきしも何日の二人ぞ

 

野に見るは泣くによろしき秋の雨

こし路戀路の思ひ出ぐさよ

 

相(あひ)似たる人か木精(こだま)かひそみきて

呼べは應ふる日なるに似たり

 

[やぶちゃん注:「呼べは」はママ。前と同じ『明星』卯年第十二号・明治三六(一九〇三)年十二月の「金鷄」欄に「萩原美棹(上野)」の名義で掲載された四首の内の巻頭の、

 相似たる人か木精(こだま)かひそみきて呼べは應(こた)ふる日なるが如し

の類型歌。]

 

たゞきくは人の泣く聲むせぶ聲

陰魔地を這ふこがらしの風

 

手をあげて招けば肥えし野の牛も

來りぬ寄りぬ何を語らむ

 

[やぶちゃん注:朔太郎満十七歳の時の、『明星』辰年第六号(明治三七(一九〇四)年六月発行)の「鳴潮」欄に「萩原美棹」の名義で掲載された六首の第五首目、

 手をあげて招けば肥えし野の牛も來りぬよりぬ何を語らむ

の表記違いの相同歌。]

 

おとなしう涙ぬぐひてあればとて

十九の春はくれであらめや

 

[やぶちゃん注:朔太郎満十七歳の時の、『坂東太郎』第三十九号(明治三七(一九〇四)年七月発行)に掲載された「夏衣」八首の四首目、

 音なしう涙おさへてあればとて春の光はくれであらめや。

の類型歌であるが、本歌の方がいい。]

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