鬼城句集 冬之部 枯藻
枯藻 水底に沈ンで枯るゝあさゝかな
[やぶちゃん注:「あさゝ」双子葉植物綱ナス目ミツガシワ科アサザ
Nymphoides peltata。浮葉性植物で地下茎を延ばして生長する。スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつける。夏から秋にかけて黄色の花を咲かせ、五枚ある花弁の周辺には細かい裂け目を多数有する。水路や小河川・池に生育し、浮葉植物であることから波浪が高い湖沼には通常は生息しない。池や水路の護岸工事や暗渠化・水質汚濁などによって各地で個体群が消滅・縮小している。「浅沙」「阿佐佐」などと漢字表記するから清音でもおかしくない(以上は主にウィキの「アサザ」に拠る)。因みに学名の属名“Nymphoides”(ニンフォイデス)は、ラテン語の「少女」「ニンフ(妖精)」の由来ではなく、ギリシャ語の“Nymphaea”(双子葉植物綱スイレン目スイレン科スイレン属Nymphaeaのヒツジグサ Nymphaea tetragona)+“eidos”(外観)の合成語が語源で本種がスイレン属のヒツジグサ(「ヒツジグサ」の由来は未の刻(午後二時)頃に花を咲かせることからとされるものの実際は朝から夕方まで花を咲かせている)に似ていることに因んだもので、種名の“peltata”は「楯状の」を意味している。別名、花蓴菜(はなじゅんさい)ともいう(この部分は個人ブログ「花々のよもやま話」の「アサザ(浅沙)」及びウィキの「ヒツジグサ」に拠った)。]
長々と根を引き這うて枯藻かな