飯田蛇笏 靈芝 明治四十一年(五句)
明治四十一年(五句)
とりいでてもろき錦や月の秋
はつ嵐眞帆の茜に凪ぎにけり
炊ぎつゝながむる山や露の音
江の宿や蘇鐡の窻の葉月汐
[やぶちゃん注:「葉月汐」は旧暦八月十五日の大潮のこと。秋の大潮は夜間に最も高くなって中秋の夜の名月の頃に満潮を迎える(春の大潮は昼が高い)。]
爐邊よりこたふる妻や秋の幮
[やぶちゃん注:「幮」は「かや」と読む。]
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