橋本多佳子句集「海燕」昭和十四年 小豆島
小豆島
春日沒り鹽田昏るる身のまはり
[やぶちゃん注:老婆心乍、「沒り」は「いり」と読む。「鹽田」底本の用字は「塩田」。]
魚ひかり春潮比重計浸せり
春日昏れ鹽屋の裡(うち)にベルト鳴り
[やぶちゃん注:「鹽屋」底本の用字は「塩屋」。このベルトは何だろう? 夜間作業のための自家発電のモーターか? それとも海水を汲み上げるモーターか? 凡そベルト・コンベアを装備した多量生産の塩屋というのもこの時代の小豆島の造塩業では考えにくいように思われる。識者の御教授を乞うものである。年譜上ではこの年の小豆島行は確認出来ない。]