新発見のバクさんの児童詩 キカンシャ 山之口貘
「山之口貘の児童詩確認 米プランゲ文庫、1947年雑誌掲載」(2010年10月25日附「琉球新報」記事)
『これまで作品名のみ知られていたが、このほど至学館大学の齋木喜美子教授(児童文学)が原本を確認、内容が初めて明らかになった。同作品の複写は、県立図書館開館100周年を記念して11月1日に開設する山之口貘文庫の資料として収められる予定。貘の子ども向け詩作品は極めて少なく、今回の発見は児童文学分野で貘研究の深化につながりそうだ』。これは『占領期日本の雑誌や新聞を収蔵する米国メリーランド大学のプランゲ文庫所蔵の児童雑誌「こどものまど」6月号(1947年5月発行)』から発見された詩で淀井敏夫氏の機関車のカラー挿絵附き。『これまで「占領期新聞・雑誌記事情報データベース」に作品名と著者名のみが紹介されていた。雑誌の表紙に検閲番号が書かれている。データベースに2巻5号と記載されていたが、実際は2巻2号であったことも分かった』。『同作品について、山之口貘研究者の松下博文筑紫女学園大学教授は「貘さんの詩でカタカナ書きのものはこれまで、戦時中に書いた『アカイマルイシルシ』『オホゾラノハナ』の二つしかなかった。これらが日の丸や落下傘を隠喩(いんゆ)化したくぐまった形の児童詩であるのに対し、『キカンシャ』は非常におおらかで力強い。戦後復興のけん引力になるような形の書き方をしている」と語る』。『齋木教授は「これまで山之口貘の作品に対する関心は大人を対象としたものに限られ、児童文学については関心が低かった。これを機に貘の児童文学にも関心が高まるとうれしい」と話している』(高良由加利氏の上記記事より抜粋)。
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