日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第十一章 六ケ月後の東京 15 明治十一年の日本製の皮靴は踵に難点あり!
日本人は我々の服装を使用するのに、帽子はうまい具合にかぶり、また衣服でさえも、彼等特有の理屈にかなった優雅な寛衣と対照すれば、必ず身に合わず、吃驚せざるを得ないような有様ではあるが、それにしても相当に着こなす。然し日本の靴屋さんは、見た所は靴らしく思われる物はつくるが、まだまだ踝(くるぶし)を固くする技術を呑み込んでいない。靴を見ることは稀であるが、見る靴はたいてい踵(かかと)のところが曲っている。図315は今日私がある男のはいていた靴を、正確に写生したものである。
[やぶちゃん注:こんなことを記録していたのはきっとモースだけに違いない。明治十一年の日本製の靴は踵が軟かったのであった。]
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