杉田久女句集 52 ゐもり釣る童の群にわれもゐて
ゐもり釣る童の群にわれもゐて
[やぶちゃん注:この子どもたちのイモリを釣っている方法について、如何にも相応しい一つの釣り方の可能性が三重県在住のムー氏のブログ「野人エッセイす」の「イグサでイモリを釣る方法」に示されてある。イグサの端で輪を作った簡便なものである。この輪の部分をイモリやカエルの顔の前に置いて待ち伏せするのだそうである。彼らが輪に入った瞬間に『勢いよく引っ張れば簡単に輪が締まるようになってい』る。イモリでもカエルでも『後ずさりをしないから飛び込んでくる。イモリが動かない場合は草で尾を突けば嫌々ながら輪に入ってくる。カエルは跳ぶときに両足がやや開く。つまり、輪を飛びぬけ抜けそうに見えて足元が引っ掛かって自分から締まってしまう。「キュ~!」と両手両足おっぴろげた格好で釣られて来るが特に害はない。イグサの輪は簡単に緩んですぐに息を吹き返す。やり始めると面白いように釣れるからやめられない。やって見せたのはヤマハ音楽教室の子供達数十人だった』とある。まことにこれで私は本句の情景を心に確かに描けたのである。]