橋本多佳子句集「信濃」 昭和十七年 Ⅰ
昭和十七年
紀州白濱
冬薊海界(うなさか)高くのぼり來ぬ
[やぶちゃん注:「海界(うなさか)」は「海境」「海坂」とも書く、古代語。海の境、海の果ての意。舟が水平線の彼方に見えなくなるのは、海に傾斜があって他界に至ると考えたことに基づく語とされ、従って原義は神話に於ける海神の国と人の国との境界を指す。]
冬の霧手套の黑き指を組む
霧ながら冬うつくしき夕べ得ぬ
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昭和十七年
紀州白濱
冬薊海界(うなさか)高くのぼり來ぬ
[やぶちゃん注:「海界(うなさか)」は「海境」「海坂」とも書く、古代語。海の境、海の果ての意。舟が水平線の彼方に見えなくなるのは、海に傾斜があって他界に至ると考えたことに基づく語とされ、従って原義は神話に於ける海神の国と人の国との境界を指す。]
冬の霧手套の黑き指を組む
霧ながら冬うつくしき夕べ得ぬ