生きてゐる位置 山之口貘
生きてゐる位置
死んだとおもつたら
生きてゐたのか、 と
僕の顏さへみればいふやうだが
世間はまつたく氣がはやい
僕は生きても生きてもなかなか死なないんで
死んだら最後だ地球が崩れても
どこまでも死んだまんまでゐたいとねがふほど
それは永いおもひをしながらも
呼吸(いき)をしてゐる間は生きてゐるのだよ。
[やぶちゃん注:【2014年6月17日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証し、この注を追加した。】初出は昭和一二(一九三七)年二月発行の『むらさき』。発表年より、創作年が、遙かに古い(前の「石」よりも古い)ことが、この配置から分かる。
「定本 山之口貘詩集」では句読点が除去され、読点は字空けとなり、「僕は生きても生きてもなかなか死なないんで」が独立せず、次の「死んだら最後だ地球が崩れても」の連の冒頭行となっている。【二〇二四年十月二十三日追記・改稿】国立国会図書館デジタルコレクションの山之口貘「詩集 思辨の苑」(昭一三(一九三八)年八月一日むらさき出版部刊・初版)を用いて(当該部はここ)、正規表現に訂正した。
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