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2014/03/16

世はさまざま   山之口貘

 

    世はさまざま

 

人は米を食つてゐる

ぼくの名とおなじ名の

獏といふ獸は

夢を食ふといふ

羊は紙を食ふ

南京蟲は血を吸ひにくる

人にはまた

人を食ひに來る人や人を食ひに出掛ける人もある

さうかとおもふと琉球には

まあ木といふ木がある

木としての器量はよくないが詩人みたいな木なんだ

いつも墓場に立つてゐて

そこに來ては泣きくづれる

かなしい聲や淚で育つといふ

まあ木といふ風變りな木もある。 

 

[やぶちゃん注:【2014年6月25日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証した際、ミス・タイプを発見、本文を訂正、さらに注を一部改稿した。】初出は昭和一五(一九四〇)年五月十日附『日本学藝新聞』。「定本 山之口貘詩集」では最後の句点が除去されてある。「うまあ木」の「む」は右寄せ小文字であるが、下附きで示した。

「うまあ木」バラ亜綱フトモモ目シクンシ科モモタマナ Terminalia catappa 。マレー半島原産とされる熱帯植物(沖縄や小笠原にも自生)で英名では“tropical almond”とか“Indian almond”と呼んで種子の仁を食用とする。材は硬くて良質であるため、建築用材や家具に用いられ、街路樹・庭木・海岸の防風林として植栽される(以上は高橋俊一氏のサイト「世界の植物-植物名の由来-」の「モモタマナ」に拠った)。多くのネット記載が、しばしば、バクさんの、この「世はさまざま」の詩を引用した折り、モモタマナに同定している。沖繩方言(うちなーぐち)では「うむまーぎー」「うむやーぎー」「くゎーでぃーさー」とも呼ばれるともある。

【二〇二四年十一月三日追記・改稿】このバクさんの第二詩集「山之口貘詩集」(昭和一五(一九四〇)年十二月山雅房刊。処女詩集「思辨の苑」の全詩篇五十九篇と、同詩集刊行後に創作した詩十二篇を追加したもの)の新作分を、国立国会図書館デジタルコレクションの原本(左のリンクは表紙。扉の標題ページ。次を開くと、著者近影がある。目次はここからで、最後に『自二五八三至二六〇〇』とある。なお、バクさんの詩集内の配列は「思辨の花」と同じで、最新のものから古いものへの降順配置である。これには、バクさんらしい新しい詩をこそ自分としては読んで貰いたいという詩人の矜持というか、光栄が感じられる。目次の後の標題はここで、奥附はここ)で、正規表現に補正を開始する。当該部はここ

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