正月と島 山之口貘
正月と島
つかっている言葉
それは日本語で
つかっている金
それはドルなのだ
日本みたいで
そうでもないみたいな
あめりかみたいで
そうでもないみたいな
つかみどころのない島なのだ
ところでさすがは
亜熱帯の島
雪を知らないこの風土は
むかしながらの沖縄で
元旦のパーティーに
扇風機のサービスと来た
[やぶちゃん注:【2014年月日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。注の一部を改稿した。】初出は昭和三五(一九六〇)年一月一日号『全繊新聞』で、同一月十五日発行の『季刊 沖縄と小笠原』第十一号にも載る。くどいが、バクさんの沖繩帰郷は昭和三三(一九五八)年十月末から翌年一月初旬のことであった。]