杉田久女句集 101 文使や子規忌に缺けしかの女より
文使や子規忌に缺けしかの女より
[やぶちゃん注:「缺けし」は底本では「欠」。原句のも「欠」である可能性がある。昭和五(一九三〇)年四十歳の時の作。「子規忌」正岡子規の命日は九月十九日。糸瓜忌・獺祭忌ともいうが韻律の上で最も経済的で張りのある音のこれを久女なら選ぶであろう。そして女弟子と思われるその「女」(め)に対する彼女の癇の強さが、初五の「ふみづかひや」の字余りによって増幅されてひしひしと伝わってくる気が私にはする。これは恐らく前年に大阪に転居した橋本多佳子(当時三十一、当時の彼女の俳号は「多加女」であった)である。]

