飯田蛇笏 靈芝 昭和七年(七十二句) Ⅱ 長禪寺に、故四俳人の追悼會をいとなむ。五句
長禪寺に、故四俳人の追悼會をいとなむ。五句
雲へだつ筑紫の春の紅々忌
[やぶちゃん注:「長禪寺」現在の山梨県甲府市愛宕町にある臨済宗で甲府五山の一つである長禅寺か。以下の四人は甲府若しくは山梨の出身の『ホトトギス』系俳人ででもあったものか。但し、「紅々忌」紅々という俳人若しくは「紅々忌」不詳。識者の御教授を乞う。]
巨人忌の大嶺に日はたゞよへり
[やぶちゃん注:「巨人忌」巨人という俳人若しくは「巨人忌」不詳。識者の御教授を乞う。]
まつりたる皷緒忌の花の馬醉木かな
[やぶちゃん注:「皷緒忌」「こちよ(こちょ)」か。皷緒という俳人若しくは「皷緒忌」不詳。識者の御教授を乞う。]
夢拙忌の供華しろじろと籠の中
[やぶちゃん注:「しろじろ」の後半は底本では踊り字「〲」。「夢拙」ネット上の情報では一九一〇年代(明治四十三年~大正八(一九一九)年)のアメリカで『ホトトギス』派であったサンフランシスコの『日米新聞』の「蝉蛙会(せんあかい)」の主力メンバーに古屋夢拙(ふるやむせつ 本名(?)晃)という人物がいることが分かるが、彼か?]
山池のそこひもわかず五月雨るゝ
[やぶちゃん注:「そこひ」は「底方」で水底の意。]