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2014/03/14

動物園   山之口貘

 

   動 物 園 

 

港からはらばひのばる夕暮をながめてゐる夜烏ども 

 

椽側に腰をおろしてゐて

軒端を見あげながら守宮の鳴聲に微笑する阿呆ども

 

空模樣でも氣づかつてゐるかのやうに

生活の遠景をながめる詩的な凡人ども

 

錘を吊したやうに靜かに胡坐をかいてゐて

酒にぬれてはうすびかりする唇に見とれ合つてゐる家畜ども 

 

僕は、 僕の生れ國を徘徊してゐたのか

身のまはりのうすぎたない鄕愁を振りはらひながら

動物園の出口にさしかゝつてゐる 

 

[やぶちゃん注:【2014年6月25日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。注を一部追加した。】初出は昭和一〇(一九三五)年五月倍大号『羅曼』に総標題「動物園」で本詩以下、前の「春愁」・「座談」の三篇が掲載された。「定本山之口貘詩集」では、第二連一行目冒頭の「椽側」が「緣側」(底本の校異は新字体「縁側」)に、同第二連第二行目の「守宮」に「やもり」のルビが振られてある。

【二〇二四年十一月二日追記・改稿】国立国会図書館デジタルコレクションの山之口貘「詩集 思辨の苑」(昭一三(一九三八)年八月一日むらさき出版部刊・初版)を用いて(当該部はここ)、正規表現に訂正した。

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