飯田蛇笏 靈芝 大正十三年(十三句)
大正十三年(十三句)
餅花や庵どつと搖る山おろし
[やぶちゃん注:「搖る」は「山廬集」の平仮名表記から「ゆる」と読んでいる。]
小野を燒くをとこをみなや東風曇り
挿木舟はや夕燒けて浮びけり
[やぶちゃん注:「挿木舟」不詳。「山廬集」では部立を「挿木」としてあり、ますます不明。識者の御教授を乞うものである。]
山ぞひや落下をふるふ小柴垣
ぬぎすてし人の温みや花衣
みめよくてにくらしき子や天瓜粉
[やぶちゃん注:底本「天爪粉」。誤植と断じ、訂した。]
盂蘭盆の出わびて仰ぐ雲や星
いちごつむ籠や地靄のたちこめて
秋旅や日雨にぬれし檜笠
むら星にうす雲わたる初秋かな
鰯雲簀を透く秋のはじめかな
秋扇やさむくなりたる夜のあはれ
ゆく雲にしばらくひそむ歸燕かな
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