萩原朔太郎「ソライロノハナ」より「若きウエルテルの煩ひ」(12)「はなあやめ」(Ⅱ)
夏祭すこしはなれて粧ひし
君と扇の風かはしけり
ほとゝぎす女に友の多くして
その音づれのたそがれの頃
[やぶちゃん注:朔太郎満十九歳の時の、前橋中学校校友会雑誌『坂東太郎』第四十三号(明治三八(一九〇五)年十二月発行)に「萩原美棹」の筆名で所収された八首連作の中の一首、
ほとゝぎす女(をんな)に友(とも)の多くしてその音(おと)づれのたそがれの頃
の表記違いの相同歌。]
ほとゝぎす卯の花垣にしば鳴くを
枕はづして聽きたまふさま
[やぶちゃん注:原本は「垣」を「桓」とするが、誤字と断じて校訂本文の「垣」を採った。]
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