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2014/03/06

飯田蛇笏 靈芝 昭和二年(三十三句) Ⅰ

 昭和二年(三十三句)

 

聖芭蕉かすみておはす庵の春

 

戀々とをみなの筆や初日記

 

人の着て魂なごみたる春着かな

 

織初や磯凪ぎしたる籬内

 

端山路や曇りて聞ゆ機初

 

破魔弓や山びこつくる子のたむろ

 

山水のいよいよ淸し花曇り

 

[やぶちゃん注:「いよいよ」の後半は底本では踊り字「〱」。なお、「山廬集」では「山マ水の」と「マ」を送っている。]

 

雨霽れの名殘りひばりや山畠

 

春蘭や巖苔からぶけしきにて

 

小枕に假りねのさむき御祭風(ごさい)かな

 

[やぶちゃん注:「御祭風」ごさいかぜ。夏の土用半ば頃に一週間ほど連続して吹き続く北東の風のことで、六月十六日と十七日に伊勢の御祭があることに由来するという。]

 

夕立や水底溯る渓蛙

 

[やぶちゃん注:「溯る」は「さかる」と訓じていよう。]

 

苔の香や笠被てむすぶ岩淸水

 

[やぶちゃん注:「山廬集」では「笠着て」とする。]

 

鍼按の眼のみひらけぬ浴衣かな

 

[やぶちゃん注:「鍼按」は「はりあん」と読むか。鍼灸按摩。]

 

たちよれば笞を舐ぶる汗馬かな

 

[やぶちゃん注:「笞」は「しもと」と訓じていよう。]

 

殪(お)つさまにひかりもぞする螢かな

 

[やぶちゃん注:「殪つ」は通常は「たふる」と訓じ、「倒ふる」「斃ふる」で、転ぶ、病んで臥すから、死ぬの意までも含む。]

 

花闌けてつゆふりこぼす牡丹かな

 

[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「闌けて」は「たけて」と読む。]

 

秋の鷹古巣に歸る尾上かな

 

[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「尾ノ上」は「をのへ(おのえ)」で「峰(を)の上(うへ)」の意で山の高い所・山の頂きの意。]

 

秋口の庭池の扉や月の雨

 

[やぶちゃん注:「扉」は「とぼそ」と読んでいるか。]

 

盆過ぎやむし返す日の俄か客

 

秋の日  秋の日の時刻ををしむ厠かな

 

月影や榛の實の枯れて後

 

[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「榛」は「はしばみ」で、ブナ目カバノキ科ハシバミ属 Corylus 種変種ハシバミ Corylus heterophylla var. thunbergii。]

 

秋雨や田上のすゝき二穗三穗

 

  仲秋某日下僕が老母の終焉に逢ふ、

  風蕭々と柴垣を吹き、古屛風のか

  げに二女袖をしぼる。二句

死骸(なきがら)や秋風かよふ鼻の穴

 

手をかゞむ白裝束や秋の幮

 

桔梗や又雨かへす峠口

 

吹き降りの籠の芒や女郎蜘蛛

 

山柿や五六顆おもき枝の先

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