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2014/03/16

飯田蛇笏 靈芝 昭和六年(四十一句) Ⅱ



月影に種井ひまなくながれけり

[やぶちゃん注:「種井」は「たなゐ(たない)」又は「たねゐ(たねい)」と読み、苗代にまく籾種(もみだね)を浸すのに使う井戸または池。]

 

草萌や詣でゝ影す老の者 

 

溪流のをどる日南や竹の秋

[やぶちゃん注:「日南」は「ひなた」と読んでおく。この問題は「明治四十年」のパートの「雷やみし合歡の日南の旅人かな」に既注。そちらを参照されたい。]

 

  千鶴女、小倉に我を迎ふ

春泥に影坊二つあとやさき

[やぶちゃん注:「千鶴女」福岡の蛇笏の弟子安田千鶴女(ちづる)。]

 

  大谷山大德坊

神山や風呂たく煙に遲ざくら

[やぶちゃん注:「大谷山大德坊」不詳。識者の御教授を乞う。] 

 

夜の秋や轡かけたる厩柱

[やぶちゃん注:「厩柱」読み不詳。「うまやばしら」は如何にも韻律が悪い。「きうばしら(きゅうばしら)」ならいいがこの重箱読みが通用するか。] 

 

雲ふかき筍黴雨の後架かな

[やぶちゃん注:「筍黴雨」は「たけのこづゆ」と読み、筍梅雨で一語の風向きを示す言葉。伊勢や伊豆地方の船乗りの言い方に由来するもので、竹の子の出る陰暦四~五月ころに吹く南東風を指す。湿気が多く、雨を伴うことが多い。筍流し。初夏の季語。] 

 

大南風をくらつて尾根の鴉かな

[やぶちゃん注:「大南風」は「おほみなみ(おおみなみ)」で、夏の季節風である南風を指す。] 

 

夏山や常山木の揚羽鴉ほど

[やぶちゃん注:「常山木」は「くさぎ」と読む。シソ目シソ科クサギ Clerodendrum trichotomum 。臭木。名の通り、葉に独特の臭気があるが、乾燥させて茶葉としたり、若葉を茹でて山菜として食用にもする。果実は草木染に使うと媒染剤なしで絹糸を鮮やかな空色に染めることが出来、赤い萼は鉄媒染で渋い灰色の染め上がりを得ることの出来る染料ともなる(以上はウィキクサギ」に拠った)。] 

 

  某、自作になる二尺餘りの陶壺を贈らるゝに

大陶壺さす花もなく梅雨入かな

 

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