ぼすとんばっぐ 山之口貘
ぼすとんばっぐ
ぼすとんばっぐを
ぶらさげているので
ミミコはふしぎな顔をしていたが
いつものように
手を振った
いってらっしゃいと
手を振った
ぼくもまたいつものように
いってまいりまあすとふりかえったが
まもなく質屋の
門をくぐったのだ
[やぶちゃん注:【2014年7月日9追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証した際、ミス・タイプを発見、本文を訂正、さらに注を改稿した。】初出は昭和二七(一九五二)年一月発行の『歴程』。清書原稿を底本とする思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」のこの詩では、六行目が、
いってらっしゃあいと
となっている。何でもないことだが、私はミミコさんなら「いってらっしゃあい」がいいなあと思うのである。]