篠原鳳作初期作品(昭和五(一九三〇)年~昭和六(一九三一)年) Ⅴ
鍾乳石垂れ下りゐる淸水かな
芭蕉林筧あらはに枯れにけり
いつしかに芭蕉も昏れし端居哉
芭蕉葉につきあたりたる夜道かな
二階にはをられずなりし颱風哉
我よりも低くなりたる枯芭蕉
霜圍ひされし芭蕉と日向ぼこ
暮雨の中走り歩ける百姓哉
ハタハタの一足毎にとびにけり
みごとなる虹の暈あり今日の月
夜々の月筧の音のさえまさり
よごれたる灯明皿や滝の神
蠟涙によごれをはしぬ滝の神
月のはや波もたてずに獨木舟
« 今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅0 草の戸も住替る代ぞひなの家 芭蕉 | トップページ | 橋本多佳子句集「信濃」 昭和二十一年 Ⅱ 久女悼亡 春潮に指をぬらして人弔ふ »